台風19号が日本列島を通過しましたが、各地で河川の氾濫をはじめ、甚大な被害をもたらしています。
そんな中、台東区が、ホームレスの人に対する避難所受け入れを拒否したと、ホームレスを支援する団体が公表しました。
台東区は上野や浅草があるエリアで、ホームレスの人や生活困窮者が比較的多く住む地域です。
これについてみていきましょう。
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台風19号直撃の中、台東区がホームレスの避難所受け入れを拒否!?事実と背景は
台東区などのエリアでホームレスの人を支援している一般社団法人あじいるが、「ホームレスの人が台東区の避難所で受け入れを拒否された」とブログやSNSで報告しました。
これについて、「あじいる」と、台東区危機災害対策課とのやりとりを確認してみます。
あじいる(以下、あ):事実関係を教えてください。
台東区(以下、台):今回の台風19号に関しての自主避難所において、来た人には受付で避難者カードを書いてもらっていたが、その避難者カードには住所を記載する欄があった。住所が書けない人がいて(住所がない人)、現地の職員が対応がわからず(住所がない人にどう対応するのかのマニュアルなし)、災害本部に確認の連絡があり、災害本部として「住所がない人は受けられない」と回答したところ、現地職員がその回答をその人に伝え、その回答を聞いて、その人は帰ってしまった。
あ:「住所がない人を受けられない」という回答により避難所に入ることができなかった人は何人いましたか?
台:現在、把握できているのはお二人。二人でご一緒に避難所にいらっしゃいました。
あ:災害などにおいては、その区の住人のみならず他区に住んでいる「帰宅困難者」などの人も避難所に避難してくる可能性があると思うが、台東区の住民以外は受け入れられないのか?
台:「帰宅困難者」には、専用の場所を用意していてそちらにご案内するという対応をとっていたが、住所がない方、ホームレスの人については想定がなかった。
あ:台東区はホームレスの人やネットカフェなどで生活する人など、住まいを持たない人が多く住む地域だと思うが、そういう状況の人が避難してくることを想定していなかったのか?
台:さまざまなご批判やご指摘をすでにたくさんいただいているが、住所不定の人の避難所への避難という視点がなかった。
あ:今後は台東区としてどのような対応をしていくのか?
台:今後は他自治体の事例を参考に、住所不定の人が適切に避難所を利用できるように検討していきたい。
つまり、事実だったということです。
都内でホームレスの支援をしている人などの報告によれば、他の区では、ホームレスの人(住所不定の人)でも避難所で受け入れ拒否などにあわなかったところもあるようです。
支援団体の反応と世間の声、今後の対応は?
上記の台東区からの回答を受け、上述した「あじいる」の今川篤子代表は次のように話しています。
――今朝(13日)も上野近辺を回ってホームレスの人たちに様子を聞いていたと聞きました。
今朝、お話しした人のなかで、あるホームレスの人は、台東区が用意した観光客(日本人含む)の人が避難できる避難所に行ったところ「ここは観光客用だからダメだ」と断られた、と話していました。
――台東区は「住所不定の人の避難を想定していなかった」と話していました。
実際に避難所で現地の職員だけではなく、災害対策本部にも確認してもらって話をしましたが、そこでは、「ホームレスの人は受け入れられない、ということを台東区として決定している」と言っていました。
「想定していない」ではなく、台東区としてホームレスの方を受け入れないことを「台東区として決定している」でした。
なので、大きく食い違います。
「ホームレスの方を受け入れない」は明確な差別なのではないでしょうか。
また、SNS上では、「ホームレスの人を受け入れないのはひどい」「人権侵害だ」という意見だけでなく、悲しいことに、「ホームレスの人を避難所に入れたくない」などの意見も見られます。
後者の意見が大多数だとは思われませんが、こういった意見が出ること自体が、社会のなかにある「差別」を如実にあらわしていると言えます。
日本は自然災害が多い地域です。
住まいがない、お金がない、少ないなどの状況で被害にあうと、甚大なダメージを受けてしまう可能性があります。
被害を受けないように、ダメージを少なくするために避難や支援をおこなうことは、一人ひとりのいのちを支えるという観点からとても重要なことです。
台東区は今後対応を改善するとのことではありますが、「想定していなかった」という理由で結果的に「排除」していた、というのは衝撃的でもあります。
また、台東区は今後について「住所不定の人が適切に避難所を利用できるように検討していきたい」としていますが、今回のような「受け入れ拒否」のようなことが起こる前に、どうして何も対応できなかったのか、しなかったのか、その責任は重いでしょう。
台東区がホームレスの人に対する避難所への受け入れを拒否! 真偽はどうか?!まとめ
・台東区がホームレスの避難所受け入れを拒否
・台東区は事実関係を認め、今後の対応については改善含め検討
・ホームレス支援団体や世間からは非難の声、一方問題点も
今回の台東区の対応はあまりに残念なものがあります。
各自治体での今後の前向きな取り組みを期待したい一方、ホームレスの人への差別や排除の問題について、多くの人に関心を持って頂きたいと切に思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。